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マンション管理と法律

法律でのマンションの定義

 たくさんのオーナーがいる分譲マンションでの管理を行うには、オーナー全員の意見をまとめることが必要である。また建物を維持するための技術も必要である。しかし、管理を行う主体者である区分所有者はマンション管理の専門家でもなく、それを業としているわけではない。そこで、区分所有者による管理が円滑に進められるよう、社会的な支援体制を整えることを目的とした「マンションの適正化の推進に関する法律(以下、マンション管理適正化法と呼ぶ)が2000年12月成立、2001年8月から施行された。この法律での「マンション」の定義をみてみよう。

◆ マンション管理適正化法 第2条
マンションとは、
@ 2以上の区分所有者が存ずる建物で人の居住の用に供する専有部分のあるもの並びにその敷地および付属施設
A 一団地内の土地又は付属施設(これらに関する権利を含む)が当該団地内にある@に掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地および付属施設

つまり、この法律では「区分所有した2戸以上の居住用の住宅」をマンションとしている。この定義に従うと、上記の「分譲マンション」のことを指すことになる。言い換えると、「集合住宅のなかでも区分所有しているもの」が本法律でいうマンションである。この場合、建物の構造がRC造等の非木造か木造かは問われないが、おおむね非木造である。

区分所有法

1.マンション管理に適用される法律
  一般に、建物の所有や利用関係、権利関係に関することは民法に規定されている。わが国の民法は、ドイツ法やフランス法を参考にして1896(明治29)年に生まれた。民法では一つの建物に一つの所有権しか認めていない(一物一権主義)が、マンションには一つの建物に多くの所有者が存在している。つまり、多数の所有者が存在している。こうした例外的な建物の所有形態であるがゆえに、民法の特別法として区分所有法という法律をつくる必要があった。
  区分所有法の正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」である。区分所有法は、マンション等の区分所有建物をめぐり生じる問題を予防、解決するための法的基準であり、1962(昭和37)年に制定された。
   マンションでは区分所有法が民法に優先して適用される。区分所有法に書いていないことについては、民法まで戻って適用する。例えば、マンションが全壊したとすると、建物の区分所有関係はなくなるため、こうした場合は区分所有法は適用されず、敷地についての民法の規定にしたがうことになる。
  なお、「建物の区分所有等に関する法律」の「等」は「団地」のことを指す。区分所有法でいう団地とは、2棟以上の建物がある場合である。この場合は棟と棟の調整が必要になり、その法的基準が示されている。区分所有法は、大きく二つに分かれており、第1章が「建物の区分所有」で建物内の権利の調整、2章が「団地」で棟間、団地内の権利の調整に関することである。

2.区分所有が成立する条件
 区分所有法が適用されるには、建物を区分所有しなければならないが、ではどんな建物が区分所有できるのか。
 先述のとおり、区分所有権が成立する部分を専有部分といって、マンションでの202号室、703号室等の各住(じゅう)戸(こ)である。専有部分にできるということは区分所有を成立させることであり、そのためには、2つの条件をクリアしなければならない。
 それは構造上の独立性利用上の独立性である。つまり、それぞれの部分が物理的に仕切られているだけでなく、利用上も独立していることが必要である。
  例えば、マンションの住戸であるのに、隣の部屋に入らないと何もできない、洗面所やトイレがない、というのであれば独立して住宅として利用することはできない。そこで区分所有の対象にはできないのである。

◆ 区分所有法 第1条
1棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他の建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。

3.法定共用部分と規約共用部分
 区分所有された建物では、専有部分でないものはすべて共有部分となる。共用部分には、法定共用部分規約共有部分がある。
 法定共有部分とは、建物の階段室や共有廊下等のように、各専有部分に通じる部分や専有部分を使用するために、どうしてもマンションの全員または一部に人が共用しなければならないところである。これらは専有部分とすることができないために、当然に共有部分になるという意味で法定共有部分という。
 しかし、管理員室や集会室は、用途上区画されていれば区分所有の対象にできるので専有部分とすることもできる。ゆえに共有部分であるときは、共有部分であることを明示する必要がある。そこで、規約で共有部分であることを定めることになる。これが規約共有部分である。
 通常、共用部分は登記できない。登記しなくても、絶対的に共用部分として認められるからであるが、規約共有部分は登記しないと第三者に対抗できない。

◆ 区分所有法 4条
数個の専有部分に通じる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とはならないものとする。
2.第1条に規定する建物の部分及び付属の建物は、規約により共有部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
◆区分所有法 2条
4.この法律において「共有部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物および第4条2項の規定により共有部分とされた附属の建物をいう。

4.共有部分の持分
  共有部分の持分は、原則として専有部分の床面積の割合に応じる。この持分は、共用部分の費用の負
  担、利益配分の基準となるとともに、集会での議決権の基準ともなる。ただし、これは区分所有法で決められている原則であり、各マンションは規約で別の割合をきめることができる。

◆ 区分所有法 14条
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2.前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものは除く)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3.前2項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4.前3項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

5.敷地(法定敷地と規約敷地)
 家を建てるためには土地がいる。ゆえに、土地に建物を建てる権利をもたないと家は建てられない。これが敷地利用権である。敷地利用権には、土地所有権であることが多いが、借地権のこともある。借地権には、定期借地権一般借地権がある。
  また、敷地利用権の設定には2タイプある。1つめは建物がある土地、建物が所在する土地(法定敷地)である。2つめは規約よって敷地とすることができる土地(規約敷地)である。規約敷地とは区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理または使用する庭、通路、その他の土地である。例えば建物直下の土地ではないけれども敷地に入っている一筆の土地以外は、すべて規約で「敷地」にしておく必要がある。
  敷地利用権も原則、持分は専有面積に応じてもつことになる。なお、敷地は、原則建物とは別個の不動産であるために、区分所有者の共有であってもその管理方法は、マンションの共用部分とは異なり、民法上の共有にしたがう。

6.共有部分の管理
 共有部分の管理について、区分所有法は民法とは異なった規定を設けている。民法では、共有物の管理は「単独」でできるもの、「過半数」でできるもの、「全員合意」でできるものに分けて規定しているが、区分所有法では保存行為管理行為変更行為の3つに分けている。
@ 保存行為
 エレベーターの点検や、廊下の清掃、電球の取替え等。共用部分の軽微な修繕等、現状を維持する行為は、各区分所有者が「単独で行える」。決議は必要ない。
A 管理行為
 エレベーターの修繕、壁のひび割れの修繕等。外壁の改修工事等の維持管理行為で、集会の過半数決議がいる。
B 変更行為
 エレベーターを設置する等。区分所有者と議決権の「各3/4以上」の集会の決議がいる(民法では全員合意が必要であるが、区分所有法では3/4以上の多数の決議でできる)
 区分所有法は、1983年,2002年と改正のたびに、個人の財産権よりも団体としての共同の利益を重視する傾向へと変わってきている。そのことが制限付き所有権ともいわれるゆえんとなっているが、なんでもかんでも制限できるわけではない。もちろん全体の利益、共同の利益を阻害するものしか制限できない。

7.強行規定と別の定め
 区分所有法には集会の決議や規約をもっても変えることができない強行規定と規約や集会で決められる別の定めの項目がある。区分所有法では原則こう決めるが、規約で「別の定め」をしてよいとあれば、別のルールをつくることも可能である。

管理規約

1.管理規約とマンションのルール
  マンション管理の基本は区分所有法に基づく。しかし、区分所有法とはマンションだけを対象しているのでなく、例えば業務用のビル、倉庫でも区分所有である場合には区分所有法が適用される。 
 また、2戸にマンションでも1000戸のマンションでも同じ法律が適用される。そのためあまり細かいルールをこの法律で決めておくわけにはいかない。どのマンションでも、マンション以外の区分所有の不動産でもすべてに適用できるように、最低限のルールだけが法で決められている。
 それでは個々のマンションで「ペットを飼ってはいけない」「事務所にしないでください」「管理費と修繕積立金はこんなふうに負担しましょう」といったルール決めておくものは何か。
 これが管理規約である。マンション管理を進める基本に区分所有法があり、この法律をベースとし、各マンションでルールを決めることができる。管理規約はマンション内の憲法とも言われ、そこを買った人や住む人々の利用や管理の仕方のルールを決めたものである。

2.管理規約と区分所有法の関係
  管理規約は必ず決めなくてはならないものではない。区分所有法では、「決めることができる」とある。しかし実際にはほとんどのマンションで管理規約を定めている。
 また、管理規約で何でも決められるわけではなく、区分所有法の規定に反する内容は無効となる。区分所有法には、集会の決議や規約をもっても変えることができない強行規定と、規約や集会で決められる「別の定め」の項目がある。よって、区分所有法に書いていないことや、「区分所有法では大原則何々であるが、規約で別の定めをしてもよい」という項目については、規約で区分所有法の内容と別の内容にできる。

3.管理規約の有効性
  管理規約は現実に即していないと意味がない。マンションには様々な人が住んでいるから、「あの人は規約に則した行動をとっていないけれど、いい人だから……」「この人はダメ」等の判断はできない。そこでその人の行動が規約に適合しているかどうかで判断することになる。
 例えば、1996年7月に行われたペット飼育をめぐる裁判(東京地裁、判時1583−43)では、ペットの飼育に関して、ペット飼育による実害があるか否かではなく、区分所有者の行動が管理規約等のルールに適合しているかどうかが判断基準となった。つまり、規約はそのマンションの所有者・居住者間の約束事で契約ともいえる。 

4.管理規約の改正
 管理規約は居住者の生活要求に沿い、実態に合った規約とすることが必要である。そのためときには見直し、改正が必要となる。規約改正には、区分所有者および議決権の3/4以上の多数による議決が必要となる。改正時に参考にできるものとして、マンション標準管理規約がある。標準管理規約は1つのモデルであり、各マンションに合った規約につくりかえる作業が必要である。

5.標準管理規約の3つのタイプ
 標準管理規約には、1棟のマンションを対象とした単棟型、2棟以上のマンションの場合には団地型、1階に店舗があるような場合の複合用途型がある。
 標準管理規約に3つのタイプがあるのは以下の理由による。例えば、1棟に400戸が入った超高層マンションA棟と、たった5戸の低層2階建マンションB棟があり、この2棟で集会所を使い、敷地を共有し、団地を形成しているとする。さて、A棟のエレベーターが故障した。規約で決まっていない場合、誰が修繕費を負担するのか。B棟の人はエレベーターをまったく使っておらず、費用負担はしたくない。しかし、多数決にすると、A棟の人数が多く、AとB棟全員で負担することになりかねない。こうした状況をふまえ、標準管理規約の団地型では、管理を進めるうえで、2段階構成をとっている。つまり、棟に関わることは棟で話し合い、費用負担も行う。全体に関わることは、A棟とB棟が協力し、全体で話し合い、費用負担もするというものだ。
 複合用途型は、1回に店舗があり、2階以上が住居部分のように、1つの建物に複合の用途が入っている場合で、この場合も基本的には2段階構成をとる。店舗のことは店舗部会で話し合う。住居部分は住居部会で話し合う。しかし、それぞれは部会であるため、部会で話し合ったことを全体で話し合うことになる。

※参照、引用文献:齊藤広子著 2005年 マンション管理学入門 鹿島出版会

マンション法の最近の動向

 平成7年に起きた阪神・淡路大震災による被災マンションの復旧・再建を図るために立法された「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」をうけて、被災マンション復旧・再建の問題とも重なって、マンション法の領域で次々に大きな立法や改正がなされている。老朽マンションの増大やマンションライフの成熟がその理由である。
 まず、平成12年に「マンション管理の適正化の推進に関する法律」が成立した。マンション法の一方の柱である管理法において、高齢化や無関心化によって弱体化しつつある管理組合による管理をさまざまな仕組みで補強しようとするものである。平成14年には「マンション建替えの円滑化等に関する法律」が成立した。マンション法のもう一方の柱である建替え法の特別法であり、老朽化マンションの建替え決議後、建替えの実現に権利変換という都市再開発法の手法を導入して推進しようとする事業法ということができる。
 この二つの特別法を受けて、平成14年にマンション法の改正がなされた。阪神・淡路大震災でのマンション建替えの経験のうえに老朽化による建替えにそなえた法改正がメインとなった。客観的要件の削除と集会での特別多数決のみによる建替え決議の導入、団地における建替え承認決議、一括建替え決議の創設などである。建替え円滑化法とあいまって建替え法は大きく変化し、区分所有権の所有権性も変容を余儀なくされたといえよう。また、管理法の領域でも、共用部分の変更、管理者の当事者適格、管理規約の適正化、管理組合の法人化、電磁的情報処理組織の導入など、多くの重要な改正があった。
 これらの立法・法改正に基づいて、標準管理規約や標準管理委託契約書の改訂もなされた。このことは、マンション管理担当者の行為規範的な性格さえ持ち始めている。マンション管理の重点の変遷を物語り、建物や都市のありようをみるうえでマンション問題の所在を示しており、極めて興味深い。また、一級建築士による構造計算書の偽装問題は、マンションの安全性への根本的疑問を生じさせた。今後のマンションのあり方に大きな影響をもたらすことになろう。

法令・通達・規約

◆法令
・建物の区分所有等に関する法律 (昭和37年法律第69号)
・建物の区分所有等に関する法律施行規則 (平成15年法務省令第47号)
・被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法  (平成7年法律第43号)
・マンションの管理の適正化の推進に関する法律 (平成12年法律第149号)
・マンションの建替えの円滑化等に関する法律 (平成14年法律第78号)
   
○マンション管理適正化指針 (平成13年国土交通省告示第1288号)
○マンションの管理の適正化の推進に関する法律の施行期日を定める政令 (平成13年政令第237号)
○マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行令 (平成13年政令第238号)
○マンションの管理の適正化の推進に関する法律施規則
※ 同施行規則の概要
(平成13年国土交通省令110号)
○マンションの管理の適正化の推進に関する法律施規則の一部を改正する省令(試験機関の指定) (平成13年国土交通省令117号)
○マンション管理適正化推進センターを指定する告示 (平成13年国土交通省告示第1326号)
○マンションの建替え円滑化等に関する基本的な方針 (平成14年国土交通省告示第1108号)

◆通達
  ●マンション管理委託契約に係る標準管理委託契約書につて
    国土交通省ホームページ参照

◆規則
  ●マンション標準管理規約
    国土交通省ホームページ参照